「きゃ――!! シャンクスさぁんっ!!! やめ、ちょ、やめ! やめて下さいッ!!」
「おいおい、これぐらい大丈夫だって、別に何もしやしねぇよ」
「ん、いやっ」
「おいおい……」
扉の向こうからはそんなやりとりが聞こえてきて、あの野郎、約束をすっぽかして一体何やってやがるんだと顔をしかめる。
ともあれ、もしその最中だとしたらあの野郎はいいとして、女の方にはちょっと悪いなと思い、扉を開けるかどうかで少し悩む。だが、時間も押しているので、ここはこちらの用事を優先させてもらうことにした。
「おい、入るぞー」
いつも通り開いている不用心な扉。鍵をかけないやつが悪い。そう自分に言い聞かせる。返事はない。靴を脱いで上がる。リビングへと向かうと、予想と反した状況が目に飛び込んできた。
「お、ベックいいところに!」
声色を変えたシャンクスの野郎がいいものめっけとばかりに俺を見る。シャンクスの体には見慣れない女が抱きついていた。……いや、抱きついているというか、すがりついているように見えた。
「何している?」
あきれつつ聞く。
「何って、Gが出たんだよ」
「Gって、ゴキ「うぁああああ! 言わないで!!」」
女がツンザくような声で叫ぶものだから、慌てて両耳を抑えた。シャンクスは両手を塞がれていたものだから、キーンと頭に響くのをなんとか精神でこらえているようだった。クククッ。その様子にいい気味だと笑ってやる。
「日頃の行いが悪いからそんなことになるんだよ」
めいいっぱいの皮肉を込めて言う。
「いいから、あれどうにかしてくれ」
「自分ですればいいだろ。おまえ、別に平気だろ?」
俺は平気だ。でも、こいつが……そう言うシャンクスの目線の先には先ほどの女がいて、あぁなるほどなと思う。女がひっついて離れないから、退治できないというわけか……。なんともいいタイミングに俺は来てしまったようだ。
「はぁ、いやだ。めんどくさい」
「はぁ?」
「じゃあ、その女をこっちに寄越せ。そうすれば、退治できる」
それで解決だ。イスに座り、足を組みながらニヤリと笑みを浮かべて見せれば、こんにゃろと睨み返してくる。ぜってぇいやだという様子から、よほど大事にしていると見える。
「そこのお嬢さん。シャンクスが退治してくれるそうだ。邪魔にならないようにこっちへ避難した方がいい」
軽く片手を差し出すと、女は一度シャンクスを見る。あーもう! と言ったシャンクスが、奴は自分の友人だと言う。すると、軽く笑みを作った女が駆け込むように俺の胸に飛び込んできた。
おっと、そんな声を上げながら衝撃を吸収するように抱き止める。そんなに虫が嫌いなのか? と聞けば、G限定ですと、答えが返ってくる。
一匹いるということはもう数匹いてもおかしくないな、とからかえば、冗談じゃないとグイグイと余計に引っ付いてこられて、その豊満な胸とふっくらとしたお尻についつい手が出そうになる。
「おい、ベック。手ぇだしたらただじゃおかねぇからな」
野郎のその言葉でなんとか理性は保たれた。しかし、このまますがり付かれていたら、いつかは切れそうで怖いなと笑みが浮かぶ。お前こんなのよく耐えていたなと、Gをしとめ終えた野郎に目を向けて感心した。
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