ふぅーと息を吐くと白く染まる、そんな日の夜。都会か田舎と言われれば、どちらかと言えば田舎だろうなというところにマンションはあった。マンションから徒歩で数分。駅から電車に乗って30分。帰りも同じルート。これが俺の日常だった。
朝起きて、会社へ行って、帰って寝る。花の金曜日はベックあたりと合コンへ行って、適当に憂さ晴らしして、帰って、次の日は寝て。その次の日も寝て。はい、一週間が終わった。そんな毎日だった。
ところが、思いもしないものを拾った俺は、その日から生活が変わった。最後に合コンへ行ったのはいつだっただろうか? 1ヶ月ぐらい前だったと思う。昔の俺が今の俺を見たら一体どうしたんだ? と叫ぶだろうな。
クククッ――――
自嘲気味な笑みは口元をゆっくりとより深い弧に変えていく。その視線の先にはこれから帰る自分のマンション。光がついていた。消し忘れ?そうじゃない。人が、がいる。
ベランダへ出ようとしているのか、閉められたカーテンの向こうの人影がよく見えた。しばらく待てば、ガラガラガラと扉が開く。カゴを抱えたが洗濯物を干しだした。その様子をフェンスに持たれて見ていた。
何やってんだ、俺は。あれはてめえの女じゃないんだぞ。あいつは、まだ、あの男のものなんだぞ。は別れたと言っていた。だが、きっと向こうはそうは思っちゃいねぇ。現にの携帯によく着信が入っている。そのため、は携帯をいつもマナーモードにしている。いいのか、そんな別れ方で。でも、萱の外の俺がどうこう言うなんてこともできず。ただ、こうやって見守ってやることしかできなかった。
「あ、シャンクス!」
気づかれたようだ。手を振ってくれるに軽く手を挙げると、ご飯準備しておくー! と可愛らしい返事が返ってくる。おいおい、お前は…。
「はぁ……結婚してぇ」
吐き出された言葉は白い息とともに夜の中へと消えていったのだった。
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