玄関まで追ったところでベックが振り返って言った。
「」
「なんですか?」
「シャンクスはああ見えて不器用だ」
「ああ見えて……?」
「髪、赤いだろ?」
「え、あ、はい。赤いです」
「よくチャラチャラしてるって言われている」
「……そんなこと、思ったこと一度もないです」
素直な自分の気持ちを言えば、ベックが目を見開いた。そんなに変なこと言ってる? 首を傾げつつ、その後に続けた。
「シャンクスは、とても優しくて、暖かくて、誰よりもその人の気持ちだとか、その人の立場だとか……そういうものを気にしていて、尊重してくれる、そんな人です」
「……あぁ」
「でも……」
「……でも?」
「ちょっと優しすぎるのかも、しれませんね……」
ベックは肩眉を上げて、ほぅと息を吐いた。ゆっくりと息を吸う私の次の言葉を落ち着いた様子で待ってくれる。
いつも……いつも……彼は優しい。優しすぎるから、私はすぐに頼ってしまって。利用してしまって。ほら、こうやって、今も。ベックという彼の友人を独り占めしてしまっている。
泣きじゃくったあの夜。彼はそっと寄り添って、頭を何度も何度も撫でてくれた。嬉しくて、悲しくて、よく分からない涙が一晩流れ続けた。
あの人と会った最後の日、彼はただ、ただ抱きしめてくれた。私の言葉に耳を傾けてくれた。彼は、ほんと……
「優しすぎるんです。私、いつも頼ってしまって。そんな自分がどうしようもなくて……それに……」
ある時、気が付いた。
「気づいたら……」
「」
ベックがいつの間にか流れ出していた私の涙を拭った。
「言う相手は、俺じゃねぇだろ?」
「……っ」
本当は、本当は彼に言いたい。けど、けど、彼はきっと首を縦に振らない。私のために。
「ベック」
「なんだ」
「私、愛している人がいるの、いや……いた、かな?」
「……」
「その人にはね、私と付き合う前に、他の彼女がいたの。2人はそれはもう仲が良くてね」
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